INTO THE ORIENTAL PHANTASMA / KADENZZA
凄いことになりましたよ。私の大好きなフランスのHOLYレーベルから、'03年に日本人アーティストがデビューしてしまいました。福島の一人暗黒メタル・プロジェクトです。You Oshimaがヴォーカル、ギター、シンセ、プログラミングなど全てをやってます。般若を描いた日本的なジャケットも、本人がデザインしたものとか。HOLYの宣伝文句はGrand
Sympho Kamikaze Metalとなってます。音楽性はHOLYから出るべくして出たという感じで、普通じゃない変態音楽ですね;
全6曲のうち、前半3曲は疾走するかっこいい曲なので、シンフォ・ブラック・メタルのイメージが強いです。けど、こんな変なのはシンフォ・ブラック・ファンは受け入れないかも;
私のような変なゴシック・メタル・ファン向き?
Voは叫ぶように歌ってます。デジタル加工してある?
ギターも弾きまくり。こんなに早弾きしちゃう暗黒メタルはそうないですよね;シンセも早弾きしちゃいます。"Mononoke"のシンセの不協和音は同じレーベルのSOULGRINDやGLOOMY
GRIMを想起します。後半3曲のうち1曲は3分の静かインスト。残り2曲は共に10分を越える組曲から成っています。こっちの方が変態暗黒メタルの本領発揮かも。疾走はせずにじっくりと、暗い雰囲気の中様々な展開によりいろいろな音を聴かせてくれます。Voも吠えずに歌い上げる…PECCATUMを思い出しました。ラストの"War Phantasma"がより大仰ですが、もっともっと盛り上がりがあるといいですね。また、この曲には唯一いい感じの女性Voも入ります。前半3曲に比べると、第一印象は弱いかもしれませんが。全体的には、SIGHの一番暗黒なアルバム『HAIL
HORROR HAIL』とはイメージの部分で共通するものがありますが、他に例えることの出来ないオリジナリティを強烈に感じます。日本からこういったアーティストが出現することにも、とても嬉しく思います。また最近はHOLYも以前のように必ずデジパックではなくて、プラケースも増えてきたわけですが、しっかりとデジパックなのは、HOLYも力を入れている証拠だと思われます。既にフランスのメタル雑誌ではカラーでインタビューも掲載されるという、素晴らしい扱いをされているようです。今後の活動に期待せずにはいられません。 http://www.kadenzza.com/ (純生)
ANONYMOUS CAESAR / PALE FOREST
ノルウェーの女性Vo擁するゴシック・メタル・バンドの'03年リリースの5曲入りミニ・アルバム。ポップなサウンドと、コケティッシュな歌唱の女性Voが超魅力のバンドなわけです。タイトル曲が新曲。むちゃくちゃいい曲じゃないけど、バンドの魅力はそこそこ発揮できてます。"Welcome To The Machine"はPINK FLOYDのカヴァーです。Roger Watersの2枚組ライヴにも収録されていたので、思いがけず聴き比べ出来てしまいましたが、もっと淡々とした歌い方で、もっと冷たい音になってます。ライヴ2曲は曲が終わった後にしかお客さんの歓声は聞こえてこない静かな曲の静かなライヴなので、あまりライヴという感じもしません。ただ、ライヴでもおねいさんの歌声は変わりなく素晴らしいなと。"Stigmata"はBroken Instruments Versionなるもので、アコースティック・ヴァージョンという感じです。アコーディオンの音色がいいです。 (純生)
TRIARCHY OF THE LOST LOVERS / ROTTING CHRIST
ギリシャのゴシック・メタル・バンドの'96年リリースの4th。私が手にしたのはオフィシャル・サイトに掲載されているのとは違うジャケットです。同じくCENTURY MEDIA盤で再発とかじゃないのに、何故かな。このアルバムは、このバンドにしてはかなりまっとうなゴシック・メタルをやられています。だらだらしたゆっくりとした曲が多いです。適当にメロディアスなんですが、輝きがないというか、先が丸めてあるようなぬるいメロディアス。というわけで、あまり面白くはないです;
このバンドは適当に疾走パートがあった方がかっこいいです。 (純生)
ANGELS OF DISTRESS / SHAPE OF DESPAIR
ドゥーム/ゴシック・バンドの'01年リリースの2ndアルバム。サウンドは前作と同じで、死にそうに遅く暗いドゥーム・サウンドに美しいギターのメロディ、ヴァイオリンが入ってきて、デス声男性Voが吠えて、ソプラノ女性Voがハーモニーをつけてしまうというもの。1stとまるで同じ5曲56分です。1番短い曲で6分、長い曲は17分です。個性的サウンドは素晴らしいと思うのですけど、真剣に聴くとだらけて疲れるし、BGMになりがちです。次作を作るのだとしたら、ちょっとだけでもいいので何か変化が欲しいところです。http://www.shapeofdespair.tk/ (純生)
A BLACK MARK TRIBUTE / V.A.
BLACK MARKレーベルのバンドがいろいろなアーティストの曲をカヴァーしたトリビュート。確か、2作目も出てましたよね。プログレ・メタルWORLD OF SILENCEはTHE BEATLESの"Strawberry Fields Forever"をメタリックなサウンドでやってます。BATHRORYのQuorthonはソロ名義でSEX PISTOLSの"God Save The Queen"をそのままに、BATHORY名義ではMOTORHEADの"Ace Of Spades"は遅くやっていて、原曲のイメージが崩れてしまうのが痛快です。DIVINE SINがやっているPICTUREの"Eternal Dark"って、VANDENBERG, KAYAKのBert HeerinkのいたPICTUREですか? CORPOR AL PUNISHMENTはPET SHOP BOYSの"It's A Sin"を、とても遅くヘヴィにやってます; こういうカヴァーがいいですよね。Dan SwanoのNIGHTINGALEはURIAH HEEPの"Return To Fantasy"を、のりのりでやってます。そしてEDGE OF SANITYではTHE POLICEの"Invisible Sun"を…って、これはEDGE OF SANITYのミニにも収録されてましたね。大好きなミニだったので、昔は聴きまくりました。MORGANA LEFAYはKISSの"Parasite"をインダストリアルっぽくやっていますが、普通の正しいメタル・バンドじゃなかったんですか?
他にはPRODIGYをカヴァーしたSOULQUAKE SYSTEM、NAZARETHをカヴァーしたMEMENTO MORI、AUTOPSYをカヴァーしたNECROPHOBIC、SAVATAGEをカヴァーしたTAD MOROSE、Edvin StarrをカヴァーしたHEXENHAUSを収録しています。それにしても、Special Thanksリストに挙げられてしまった、カヴァーされてしまった方々ははたはた迷惑?
(純生)