THE SECOND RENAISSANCE / KADENZZA
'03年に突如、フランスのHOLY RECORDSからデビューを果たした福島の一人暗黒メタラーの、2年ぶりの'05年リリースの2nd。もちろんHOLY
REC.から。1st『INTO THE ORIENTAL PHANTASMA』ではゴシック・メタル的な混沌とした音世界を、ブラック・メタル的な暴虐さを、それをシンフォニックに、そしてネオクラシカル・ギターをも加えることで、実に個性的なサウンドを展開していたわけです。本作においては、そこにプログレ的要素が強調され、独自の音世界を壊すことなく、更に音楽的幅を広げてきている。また、サウンド面の向上により、ますます一人でやっていることを感じさせない。更にYou Oshimaのヴォーカリストとしての成長も、憂いある普通声から感じ取れる。さて、捨て曲なしの充実な楽曲が並んでいるわけです。後半は童話「赤ずきんちゃん」のコンセプトによる楽曲も並んでいたりもするわけですが、私はほとんどのアルバムでは歌詞まで掘り下げては聴かないので、それらについては近日アップ予定のインタビューで明かすことにします。本作もYou
Oshimaが一人で作り上げ、1人の語り担当の女性と、女性Voがゲスト参加をしている。イントロに続く"Ghost In The SHhell"は1stの疾走曲路線の延長線上の曲。ひたすら大仰にシンフォニック、そして疾走、ネオクラなギター・ソロが炸裂するあたりが、やけにかっこいい。"The Embers Of Reverie"もシンフォニックな疾走曲であるが、憂いのある実に艶っぽい普通声でも歌っているのに驚かされる。"The Abyss Stares At You"はイタリアン・プログレかと思いました。ヴァイオリンが鳴り響くプログレな曲です。でもそこはKADENZZAなわけで、ただドラマティックなヴァイオリンを響かせているわけではなく、暗黒漂う大仰でシンフォニックな曲に仕上げている。ここでのYou
Oshimaは太い声色の普通声で歌い上げているのも、彼のVoの表現力向上による成果であろうか。9分に及ぶ"Utakata"はこれまでになかったゴシック・メタルな曲。大仰でディープに暗いシンフォニックな展開の後にブレークして待ち受けるのは、女性Voによる子守歌。日本語歌詞です。ちなみに既存の曲ではなく、KADENZZAオリジナルの子守歌。ピアノをバックにソプラノ声で非常に優しく歌い上げてくれる。その後にはまだ非常に重苦しい空気が漂うが、最後にはどっかんどっかんとまるでTHERIONを10倍ぐらい大仰にしたような展開が待ち受けている。この曲にはYou
Oshimaが一切歌っていないのもポイント。"The Wolfoid"はアグレッシヴなヴァイオリンが実に印象的。アルバム中一番暴虐的な楽曲です。…自国のミュージシャンという贔屓目抜きにしても、HOLYがHOLYらしくあるべきと考えた場合は、唯一の希望の星…いやいや変態の星とでも言うべきか。既にHOLYを見捨ててしまったあなたも聴く価値が充分にあるHOLY的変態暗黒音楽です。HOLYファンとしてもむちゃくちゃ嬉しい。当然、今年のベスト・アルバムの1枚。(純生)
STILL IN THE SPHERE / SUPURATION
ベルギー/フランスのゴシック・メタル・バンドの'94年リリースの5曲入りミニ・アルバム。HOLY RECORDS契約前のアルバムです。というわけで、入手出来ただけでも、むちゃくちゃ嬉しいわけです!
最初はデス・メタル色強かったみたいですが、本作では既に多少キャッチーなゴシック・メタルをやられています。ディープなデス声と普通声。既に何かの音源で聴いている曲もありますね。そして本作のハイライトはラストのTEARS FOR TEARSのカヴァー"Shout"です。前半は実にドゥームに暗くやっているのが素晴らしいです。途中から爽やかな普通声で多少速いテンポでやってます。この曲はゴシック・メタル・バンドに人気があるのか、ATROCITYやDOMINIONもやっているわけですが、SUPURATIONのが一番かっこ悪いので、一番気に入りました(笑)。爽やかな曲を陰気にしてしまうのがいい!
正に純生向きです。 (純生)
DISINTEGRATE / EYES OF FIRE
アメリカのゴシック・メタル・バンドの'03年リリースのデビュー・シングル。3曲入り。1stフルレンス『ASHES TO EMBERS』の前にリリースされてます。で、タイトル・トラックはアルバム未収録曲ですが、他2曲はアルバム収録曲です。"Hopeless", "Anyone"共にこのバンドのゴシック・メタル寄りの暗くてだらだらとして、切ないメロディのタイプの曲です。ま、アルバムでも気に入っていた曲なわけなので、より気に入ったということか。一方タイトル・トラックはこのバンドのもう一つの顔?である、退廃的でアグレッシヴなヘヴィ・ロックな曲です。当然、そんなに好きなわけではありません。ま、シングルが入手出来てとても嬉しいわけです。(純生)