NIGHTTIME BIRDS / THE GATHERING
 オランダの女性Voを擁する6人組ゴシック・メタル。'97年リリースの4th。基本的には前作『MANDYLION』の延長線上で、特に変化もない部分では面白みに欠けるが、楽曲の出来は前作同様に名曲になりうる曲が揃っている。オープニングの"On Most Surface"は前作のオープニング"Strange Machine"のように力強い曲。いや力強いけど、もっと緻密に丁寧に曲が作られている。シングル・カットされた"The May Song"は優しさに満ち溢れた曲で、歌メロの良さではアルバム中1番気に入っている。この曲の流れに身を預けて踊るのがまた気持ちいいんです。"Third Chance"は前作からのシングルに入っていた曲のリメイクで、曲のノリの良さ、Voの元気の良さが非常にいい。シングルで聴いた時は深味がない曲だと思っていたけど、アルバム中静かな曲が多く占めるこのアルバムの中では輝いている。"Nighttime Birds"、歌メロは非常に心にぐっときていいのだけども、アバンギャルドな雰囲気がわけがわからないことをやり始めちゃっているTHE 3RD AND THE MORTALのようで、今後大丈夫かなあって心配になります。前作からのツアーを成果だろうか、Anneke嬢の歌唱力・表現力はアップしている。(純生)


HOSTMORKE / ISENGARD
 同名の普通のメタル・バンドもいるが、こちらは'95年リリースのノルウェーの1人ブラック・メタルの2ndです。元DARKTHORNEの人で、Kariが参加して話題になった暗黒トラッド・プロジェクトSTORMにも参加している。ばりばりにトラッドが導入されているのが面白い。野太い男性Voで暗いながらも陽気に(表現矛盾してるけど)「ヘイ!」とか「ララララ…」とか歌われた日には、嬉しくて気が狂っちゃいそうです@ 突っ走って、シンフォニックって、叫んじゃういわゆるメロブラとは違うけど、これも一つのメロブラの新しい形。一人でやっているから演奏がチープで音が悪いのは仕方ないやって許せちゃうのは、楽曲が良くて、Voに味わいがあるから。トラッドが入ってなくて、叫んでいる曲はどうしようもないけど。ちなみにブラック・メタルとしては最重要レーベルであり、SATYRICONのメンバーが主宰しているMoonfogからのリリースです。(純生)


VARIATION ON INDUCTIVE THEORIES / MISANTHROPE
HOLYレーベル所属のフランス出身4人組のゴシック・メタル・バンド、'93年リリースの1st。なんとG&VoがHOLYの社長さんだ! やられているサウンドは、ゴシック専門レーベルに相応しく、「あんたが一番妖しい!」とツッコミを入れたいぐらいに、変なゴシックをやっている。気持ち悪いメロディでいて、曲展開は流れ無視で強引だし、ベースはベンベン前面に出てくるのが特徴。Voが終始嘆く感じで歌っていて、それはCELTIC FLOSTのVoにそっくりで、影響を受けているのかもね。(純生)


WITHIN THE ANCIENT FOREST / PARAMAECIUM
 オーストラリアの4人組ドゥーム・ゴシックの'96年リリースのおそらくは2nd。前作では1曲目に高らかな女性Voではじまるが、そのあと延々とドゥームなリフを刻みまくり、再び女性Voが入る展開にもなるのだが、驚きの17分もの"The Unnatual Conception"という名曲があった。が、他の曲がただのドゥームという印象でしかなかった。しかし前のアルバムに名曲が1曲でもあると、新譜も買わずにはいられません。
 このバンド、大成長を遂げてしまった。恐ろしく長い曲はないものの、曲に緩急の付け方が巧くなってきた。力強くドゥームなパートよりも、メロディアスなパートが増えてきた。チェロ、フルートやハープシコードまでちょいとではあるが使われている。そして純生お楽しみの女性Voも前作より300%ぐらいの大増量。4人もの女性Voが曲によって入れ違いに登場する。男性デス声が激烈なほどに凶悪なので、そのコントラストがいいのです。名曲"The Unnatual Conception"の短縮ヴァージョン(といっても9分もある)のような同じ展開を持つ"I Am Not Alive"は前作と同じソプラノVoのおねいさんが歌っている。(純生)


IMRAMA / PRIMORDIAL
 SKYCLAD, CRUACHAN, RAGNAROK(UK), SUBWAY TO SALLYに続くケルト・メタルの登場だ! って'95年に既にリリースされてるアイルランド出身の5人組のおそらくは1st。ティン・ホイッスルとKeyを兼ねるメンバーがいます。CACOPHONOUSレーベルのバンドで、レーベル・カタログによると「PAGAN / CELTIC METAL」と説明されている。PAGANというのは私は最近教えてもらったばかりなのだが、無宗教のことで、PAGAN METALというジャンルも確立されつつあるそうだ。サウンドはケルト・メタルにしては、ケルト色が薄すぎる。基本はブラック・メタル、いやENSLAVEDにも似た雰囲気のバイキング・メタルか。オープニングが軽快なトラッドちっくなアコースティック・ギターが入るのと、"The Darkest Flame"のイントロが男性Voの独唱であること、"Bebeath A Bronze Sky"がバウロン(打楽器)とティン・ホイッスルそしてアコギによる純粋なトラッドな曲であることぐらいか。でもま、他のケルト・メタルと同じではつまらない。ケルト・メタルとしては個性的だと言えるではないか。これで夢のケルティック・メタル・フェスティバルにまた一歩前進。(純生)